Reborn-Art Festival

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風間サチコ

Sachiko Kazama

復興祈念公園周辺エリア

Photo by Yoko Asakai

1972年東京都生まれ。東京都在住。
「現在」起きている現象の根源を「過去」に探り、「未来」に垂れ込む暗雲を予兆させる黒い木版画を中心に制作する。一つの画面に様々なモチーフが盛り込まれ構成された木版画は漫画風でナンセンス、黒一色のみの単色でありながら濃淡を駆使するなど多彩な表現を試み、彫刻刀によるシャープな描線によってきわどいテーマを巧みに表現する。風間は作品のなかで、現代社会や歴史の直視しがたい現実が、時には滑稽でコミカルに見えてしまう場面を捉えようとしている。そこには作家自身が社会の当事者であるよりも、むしろ観察者でありたいという意識が反映されている。作品はフィクションの世界だが、制作に際しては古書研究をするなど独自のリサーチを徹底し、現実や歴史の黒い闇を彫りおこすことで、真実から嘘を抉り出し、嘘から真実を描き出す。

作品番号 :
B3
タイトル :

ニュー松島, 2022
FLOW(沖つ国 / 不老山), 2022
延びる海岸, 2022
立体視(石巻石、中瀬中), 2022

制作年 :
すべて2022年
風間サチコが制作する黒一色の木版画は、一つの画面にさまざまなモチーフが盛り込まれ、漫画風でナンセンス、濃淡を駆使するなど多彩な表現を試み、彫刻刀によるシャープな描線によって現実や歴史の黒い闇を彫りおこします。風間は作品のなかで、現代社会や歴史の直視しがたい現実が、時には滑稽でコミカルに見えてしまう場面を捉えようとしています。

風間は、会場となる蔵が「野蒜石」で作られていたことから、石巻から西に18kmほど離れた野蒜で採石された凝灰岩のリサーチを始めました。

「野蒜には日本三景の松島と兄弟のような奇岩があり、自然の構図が絶妙な景勝地でしたが、現在は防潮堤で様変わりし、名勝『不老山』はコンクリート壁に挟まれ窮屈そうにしています。……風景の変化を劣化と見るか進化と見るか? 333年前、松尾芭蕉は松島を『造化の天工』と絶賛し、今もなお旅行者はその面影を追う。私は老いた島々がシャープだった時代を想像しつつ未来も見たい。それが展示のテーマ『新しい山水』です」

ニュー松島, 2022

「『ニュー松島』とは私が松島観光をした際に乗船した遊覧船の船会社の名前です。船に乗って初めて見た松島は、幾星霜にわたり波と潮風に晒されエッジが甘くなり、私が訪れる前に鑑賞していた100年前の写真絵葉書よりも精彩に欠ける印象でした。本作はこのような経年による風景の変化を否定せず、無常とは即ち『新しい』と肯定する試みです。333年前に松尾芭蕉が見たシャープな景色を想像しながら、100年前の古絵葉書と海浜風景の完成形を見せる古伊万里の皿絵を参考にしながら、未来の牧歌的風景を恒久性のあるアルミ板に描きました」

FLOW(沖つ国/不老山), 2022

「かつて伊達政宗公が『絶勝の地びとをして老いざらしむに足る』と賞賛したという奥松島・野蒜にある不老山は、現在はコンクリートの防潮堤が食い込み美観を失ったかのように見えます。新しいこの構造物を、住民の生命を守る境界線として見立ててみると、海の彼方にある常世と現世を往来する神の船が登場する歌『沖つ国 領(うしは)く君が塗屋形 黄塗の屋形 神の門渡る』(万葉集3888番)が想起されます。生と死の境界線=防潮堤に鎮座する不老山はまるで領く君主が造った門のように見え、また野蒜築港の夢の跡となった運河の水門の残像とも重なります」

延びる海岸, 2022

「明治時代の初期、野蒜海岸は日本初の近代港建設で沸きに沸いていたそうです。しかし完成からたった3年で台風によって破壊され、巨大公共事業による繁栄の夢は泡と消えました。現在はわずかに残る野蒜築港跡とは対照的にグングン延びる防潮堤が海岸に造成されています。防潮堤や護岸は被災地だけではなく日本列島の海岸線をぐるりと縁取るように建設され続け、コンクリートは広い意味で生活を支えています。そんな成長し変化し続ける風景を無限に見えるレシートに描きました」

立体視(石巻石、中瀬中), 2022

「およそ100年前の石巻の絵葉書(日和山から望む中瀬と袖の渡しの巻石)とそっくりの風景写真を撮影しコロタイプで昔風に印刷しました。今昔の二枚を左右に並べて寄り目で見ると……真ん中に時空を超えた立体像が浮かび上がるかもしれません」

(風間サチコ)
展示場所 :
阿部家の石蔵
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協力:無人島プロダクション

参考画像

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